復帰摂理歴史の真実
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■ 第三部 第四章 
     d. なぜ正妻と妾の摂理となったのか(下)


1. 妾を軸とした血統転換と御言による愛の転換
 (1) 神の血統確立と分断
  @ ふしだらな女たちによる血統転換
 愛には、縦的愛と横的愛があるのです。父子関係は縦的愛であり、夫婦関係は横的関係です。縦的愛は血統的につながり、夫婦関係は血統的につながりません。(『文鮮明先生の日本語による御言集 特別編1』p17〜p18)

 人間において、一番貴いものは何ですか?(「愛です」)。愛はどこに住みますか? 男の愛と女の愛は、どこで一つになりますか? どこですか?(「生殖器です」)。生殖器を合わせたところです。女の生殖器(それ自体)には愛はないのです。自分自身では感じないのです。あなたは愛を持っているのですね? 父母の愛、父母の生命、父母の血統をみんな相続しているのです。それを持っていても、自分なりに一つになっているので感じないのです。これ(目)は、近くなったら見えますか? 答えてください。見えますか、見えませんか?(「見えません」)。(『文鮮明先生の日本語による御言集 特別編1』p33)
    (@) 血統の橋渡し
図1
 父子関係は縦的愛で、この関係をもって血統はつながっていく。しかし、横的愛の夫婦関係では血統的につながらない。では、何故に母から産まれてくる子女は、父の血統として生まれ出ることが出来るのか。
 堕落によって、神の血統とは言え堕落の血が流れている。それが、父子関係の縦的愛によってつながれた血統である。その不純な血統を分別して純粋な神の血統に近づけていくのが母となる女性の生殖器としての子宮である(図1)。
 子宮は、女性の生命を育む神秘的な器官としてだけではなく、“感情やエネルギーの貯蔵庫” となって心と体の橋渡しをする役割を担っています。子宮と感情の深い結びつきは、喜びや愛、感謝といった感情が子宮内のエネルギーを活性化し、生命力を高めることにある。このスピリチュアル的な観点が、次に示す“マタイによる福音書第1章2節から16節”に記されたイエス・キリストの系図における「4人のふしだらな女性」の存在に重要なポイントとなる。

<参照>
 子宮と感情のスピリチュアルな意味
 ザカリヤ、マリアとヨセフ

    (A) ソロモンの不信仰は “女による復帰摂理” の分岐点となった
 ソロモン王は多くの外国の女を愛した。すなわちパロの娘、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女を愛した。主はかつてこれらの国民について、イスラエルの人々に言われた、「あなたがたは彼らと交わってはならない。彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々を従わせるからである」。しかしソロモンは彼らを愛して離れなかった。彼には王妃としての妻七百人、そばめ三百人があった。その妻たちが彼の心を転じたのである。ソロモンが年老いた時、その妻たちが彼の心を転じて他の神々に従わせたので、彼の心は父ダビデの心のようには、その神、主に真実でなかった。これはソロモンがシドンびとの女神アシタロテに従い、アンモンびとの神である憎むべき者ミルコムに従ったからである。このようにソロモンは主の目の前に悪を行い、父ダビデのように全くは主に従わなかった。そしてソロモンはモアブの神である憎むべき者ケモシのために、またアンモンの人々の神である憎むべき者モレクのためにエルサレムの東の山に高き所を築いた。彼はまた外国のすべての妻たちのためにもそうしたので、彼女たちはその神々に香をたき、犠牲をささげた。(列王紀上11章1節〜8節)

<参照>
 【聖書のしくじり先生1】ソロモン:絶頂の時に、衰退の萌芽あり 関智征

 「4人のふしだらな女性」の集大成として誕生したのがソロモンです。このソロモンが神の復帰摂理を打ち壊してしまいました
 イスラエル・ダビデ王家の2代目ソロモンは、イスラエル史上、もっとも栄華を極めた王であった。ソロモン王は、神から「あなたに何を与えようか、求めなさい」と言われるまでの愛され様であった(列王紀上3章5節)。これに対してソロモン王はへりくだって、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代わって王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることをことを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」(列王紀上3章6節〜9節)と告白している。これに応じた神は、ソロモンに智慧の心と判断力ばかりか、富と誉れも与えたのである(列王紀上3章11節〜13節)。
 イスラエルの民はユーフラテス川からペリシテ人の地方、さらにはエジプトの国境に至るまで領土を拡大し支配するようになると、神殿建築7年におけるイスラエル絶頂期の時代に入り、ソロモン王は近隣異民から妻を娶り、王妃700名、側室300名を抱え、この妻たちの偶像崇拝に影響を受けて、神に従わず、“神の前に悪を行ずる王” となってしまったのである。

    (B) ソロモンの摂理的失敗は、イエスの霊的復帰摂理を招いた
図2
 本来、ソロモンの悪行が無ければ、前ページの図1のように(「なぜ正妻と妾の摂理となったのか(中)」参照)、ダビデの血統として、ソロモンから10代を経て、イエスはダビデの血統と直接つながったはずである。ところが、イエスの父ザカリアはダビデの血統ではない。
 ソロモンの悪行によって神の逆鱗に触れたダビデの血統であるヨセフが蕩減として復帰摂理上の “天使長の立場” を担うようになった(図2)。“天使長は相対を持たない立場” であるから、ヨセフがその立場に立ってダビデの時のウリヤの立場を蕩減復帰し、マリアがバテシバの立場を蕩減復帰すれば(図3)、イエスはソロモンを蕩減復帰した立場に立ち、“イエスを実体神殿とする道が開かれた” はずであった(「統一王国時代 (上)」参照)。
図3

<参照>
 王国の分裂と滅亡
 神殿崩壊の意味するもの
 なぜ正妻と妾の摂理となったのか(中)

    (C) 神の怒りは復帰摂理の中心を中東から東洋へ
 ソロモンから13代目のヨシヤの時に、ダビデの血統はバビロン捕囚となった(マタイによる福音書1章11節 / 図2)。
 13数は、ユダヤ教では「聖数」とされているが、マタイによる福音書には14代として数えられている(マタイによる福音書1章17節)。アブラハムからダビデまで14代、ダビデからバビロンに移されるヨシヤの時まで14代、ヨシヤの次からイエスまでの14代といった具合である。マタイはなぜアブラハムから始めて、14代を3度数えてイエスまで至らせたのか。それは、13数としての「聖数」を “イエス誕生の系図には相応しくない” ことを知っていたからに他ならない。ましてや、ヨセフのマリアとの離縁の決心(マタイによる福音書1章19節)のことまで記載しているのはこのことをにじませている。
 神のソロモンに対する怒りは、ソロモンから13代目のヨシヤのときに頂点に達し、バビロン捕囚を余儀なくされたのである。このバビロン捕囚のときに「失われた10支族」(「失われた10支族の行方」参照)の問題が生じたのは、“エルサレム神殿が象徴とする至聖所と聖所が一体となる摂理”(「神殿崩壊の意味するもの」参照)ができなくなったことを意味する。また、イエスがエルサレムの神殿崩壊を預言(ルカによる福音書21章6節)したのも、ソロモンの犯した罪を “神殿の権威の否定” として表現したのである。



  A タマルの胎中性別
    (@) タマルの信仰と愛
 時に、ひとりの人がタマルに告げて、「あなたのしゅうとが羊の毛を切るためにテムナに上って来る」と言ったので、彼女は寡婦かふの衣服を脱ぎすて、被衣かずきで身をおおい隠して、テムナへ行く道のかたわらにあるエナイムの入口にすわっていた。彼女はシラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知ったからである。ユダは彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたため、遊女だと思い、道のかたわらで彼女に向かって言った、「さあ、あなたの所にはいらせておくれ」。彼はこの女がわが子の妻であることを知らなかったからである。彼女は言った、「わたしの所にはいるため、何をくださいますか」。ユダは言った、「群れのうちのやぎの子をあなたにあげよう」。彼女は言った、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。ユダは言った、「どんなしるしをあげようか」。彼女は言った、「あなたの印と紐と、あなたの手にあるつえとを」。彼はこれらを与えて彼女の所にはいった。彼女はユダによってみごもった。彼女は起きて去り、被衣を脱いで寡婦の衣服を着た。(創世記38章13節〜19節)

 本編の「ユダとタマルの内的摂理完成と外的摂理」や「『原理講論』にないヤコブ家庭摂理」でも取り上げた、復帰摂理上の胎内聖別として “妾の立場” 以外のもう一つの重要な観点について述べておかなければなりません。それが、創世記の38章18節でタマルがユダと関係した証拠品となる「印」と「紐」と「杖」のことである。
 「印」は、当時使用されていた円筒印章(右図)のことで、縦穴に「紐」を通して身につけていました。「杖」は、古くから権威の象徴としてあり、イスラエル(「神が支配する」という意味 / 創世記32章28節)として出発したヤコブが持っていた杖(創世記32章10節)をユダが引き継いだものです。





<参照>
 印章の起源T(印章の誕生)
 円筒印章(シリンダー・シール)の小説への登場形態 (筑紫女学園大学教授 大津忠彦 : PDF / 本サイト
 王笏



  B ラハブの信仰とボアズの誕生
    (@) ラハブの赤い紐
 信仰によって、エリコの城壁は、七日にわたってまわったために、くずれおちた。信仰によって、遊女ラハブは、探りにきた者たちをおだやかに迎えたので、不従順な者どもと一緒に滅びることはなかった。(へブル人への手紙11章30節〜31節)

 旧約聖書に登場する遊女ラハブは、エリコの町でスパイとして訪れたヨシュアの斥候かくまい、その結果、エリコ陥落の際に町の人々の中で唯一助かった女性です。





 そして彼らに言った、「主がこの地をあなたがたに賜ったこと、わたしたちがあなたがたをひじょうに恐れていること、そしてこの地の民がみなあなたがたの前に震えおののいていることをわたしは知っています。あなたがたがエジプトから出てこられた時、主があなたがたの前で紅海の水を干されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王シホンとオグにされたこと、すなわちふたりを、全滅されたことを、わたしたちは聞いたからです。わたしたちはそれを聞くと、心は消え、あなたがたのゆえに人々は全く勇気を失ってしまいました。あなたがたの神、主は上の天にも、下の地にも、神でいらせられるからです。(ヨシュア記2章9節〜11節)

 われわれがこの地に討ち入る時、わたしたちをつりおろした窓に、この赤い糸のひもを結び付け、またあなたの父母、兄弟、およびあなたの父の家族をみなあなたの家に集めなさい。ひとりでも家の戸口から外へ出て、血を流されることがあれば、その責めはその人自身のこうべに帰すでしょう。われわれに罪はありません。しかしあなたの家の中にいる人に手をかけて血を流すことがあれば、その責めはわれわれのこうべに帰すでしょう。(ヨシュア記2章18節〜19節)

 そこでモーセはイスラエルの長老をみな呼び寄せて言った「あなたがたは急いで家族ごとに一つの小羊を取り、その過越の獣をほふらなければならない。また一束のヒソプを取って鉢の血に浸し、鉢の血を、かもいと入口の二つの柱につけなければならない。朝まであなたがたは、ひとりも家の戸の外に出てはならない。主が行き巡ってエジプトびとを撃たれるとき、かもいと入口の二つの柱にある血を見て、主はその入口を過ぎ越し、滅ぼす者が、あなたがたの家にはいって、撃つのを許されないであろう。あなたがたはこの事を、あなたと子孫のための定めとして、永久に守らなければならない」。(出エジプト記12章21節〜24節)







<参照>
 エリコの城へき
 遊女ラハブの信仰
 「遊女ラハブの恵み」ヨシュア記の学び 第4回
 信仰によつて義と認められた遊女ラハブ
 ラハブの信仰 (PDF / 本サイト
 サルモン
<参照>
 ラハブ
 聖書の探求(191) ヨシュア記6章22〜27節 ラハブとその家族の救い、結語(警告と祝福)
 統一王国時代 (上)
 ザカリヤ、マリアとヨセフ
 きわめて重要な一つの系図

    (A)  







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