復帰摂理歴史の真実
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■ 第二章 第二節 イスラエル12支族
     a. ルツ記


1. タマルとルツ

 (1) 悔い改めたナオミの信仰

  @ 飢饉はなぜ起こったか

 しかし、あなたの神、主の声に聞き従わず、きょう、わたしが命じるすべての戒めと定めとを守り行わないならば、このもろもろの “のろい” があなたに臨み、あなたに及ぶであろう。(申命記28章15節)


 「ルツ記」 は、士師の時代の出来事です。ルツ記の最初に記された “さばきづかさ” とは士師のことであり、士師時代は不信仰を極めていました (士師記2章)。“裁きの神 (申命記1章17節)” として成される “災い” を “呪い” と聖書では表現されているのですが、“呪い” の 「」 は “神の前に跪く人” をあらわしています。

<参照>
 「呪い」 の由来

 「あなたがたは、さばきをする時、人を片寄り見てはならない。小さい者にも大いなる者にも聞かなければならない。人の顔を恐れてはならないさばきは神の事だからである。あなたがたで決めるのに難しい事は、わたしのところに持ってこなければならない。わたしはそれを聞くであろう」。(申命記1章17節)


 これらの事から、ルツ記 1 章 1 節にある災いである “飢饉” は、裁きの神の呪であると理解し、創世記38章と対比するとルツ記の持つ意味が見えてきます。

<参照>
 ユダとタマルの内的摂理完成と外的摂理


  A 夫と二人の息子の死によって悔い改めたナオミ

 あなたがたは訓練として耐え忍びなさい神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。(ヘブル人への手紙11章7節)


 「主の手がわたしに臨み、わたしを責められたことで、あなたがたのために、わたしは非常に心を痛めているのです」。(ルツ記1章13節)


<参照>
 ユダとタマルの内的摂理完成と外的摂理

 ここで、創世記38章のタマルのところを振り返ってみましょう。
 イスラエルのの血統を残すことを是としたタマルは、ユダの長子エルの妻となりましたが、エルは主の前に悪い者であったため主は彼を殺し、続く次子オナンも主が殺しました。末子のシラはユダが主によって殺されると思いそれを拒んだため、結局タマルは舅であるユダと関係を持つことで、イスラエルの血統を残そうと覚悟したのです。
 ところで、ユダの子になぜ主の前に悪いものとしてエルとオナンが生まれることになったのでしょうか。それは異邦の女シュアを妻としたためと考えられます。
 そこでナオミの夫エリメレクとその子マロンとキリオンですが、モアブの地に入ってからなぜ次々と死んでしまったのでしょうか。それはエリメレクに問題があったのです。
 ユダの地のベツレヘムはヘブライ語とアラム語では 「パンの家」、アラビア語では 「肉の家」 を意味し、肥沃な土地でした。豊かな環境で育まれたエリメレクは、飢饉を神が与えた試練と考えることはできず異邦の地モアブに豊かさを求めたのです。元々選民としての意識が全く薄かったのでしょう。呆気なく “神が住まわれる地” を捨て去ったのです。
 そのため、エリメレクは死に、それを継承した息子たちも死んでしまったのです。その後ナオミに、ユダの地に残った人たちからある便りが聞こえて来ました。

 主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。(ルツ記1章6節)


 ナオミは自分たちが神の意思に反してユダの地を逃れて来た事を激しく悔い改め、そのことを神に祈るとともに、これまでの経過を嫁たちにも一部始終語り尽くしました。ナオミと共に過ごし、それを聞いたオルパとナオミは、感激のあまりナオミから離れようとはしなかったのです。ナオミは再三にわたって二人の嫁に、モアブの自分の家に帰るように説得しましたが、ルツだけは覚悟を決めてナオミと一緒にベツレヘムに帰ってきたのです。

 (2) ルツの信仰はタマルの信仰

 しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民あなたの神はわたしの神です。あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。(ルツ記 1 章16節〜17節)


 ルツのこの覚悟は、かつてのユダの覚悟かそれ以上でした。

<参照>
 ユダの覚悟と十戒

 ナオミと共にベツレヘムに来たルツに課せられた事は “落穂拾い” のみでした。一度イスラエルの地を捨てたものは帰ってきても何一つ所有することは許されませんでした。収穫の終わった田畑からこぼれた一粒の小さな落穂を拾い集めるのが精一杯だったのです。
 その様な立場の中で、ナオミは自身の悔い改めとルツの覚悟の一切をボアズに打ち明けたのです。ボアズは夫エリメレクの近くにいる遠い親戚だったからです。

 さてナオミには、夫エリメレクの一族で、非常に裕福なひとりの親戚があって、その名をボアズといった。(ルツ記2章1節)


 ボアズは、ルツを妻として、エリメレク、キリオンとマロンが残したすべての財産を得ることとなりましたが、これまでのことから、ユダの時にタマルが胎中聖別されて産まれたペレヅの血統は、ルツの信仰とその覚悟によって “イスラエル選民としての核心” となるのです。

 「どうぞ、主があなたの家にはいる女を、イスラエルの家をたてたラケルとレアのふたりのようにされますよう。どうぞ、あなたがエフラタで富を得、ベツレヘムで名を揚げられますように。どうぞ、主がこの若い女によってあなたに賜る子供により、あなたの家が、かのタマルがユダに産んだペレヅの家のようになりますように」。(ルツ記4章11節〜12節)


 後に、この血統からダビデが生まれ、ソロモンが誕生することになります。



<参照>
 ルツ その1(聖書の女性たち)
 ルツ その2(聖書の女性たち)


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