聖母マリアと独生女論の誤り

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■『原理講論』の曖昧さとキリスト教神学の欺瞞が生んだ独生女問題
     1. 独生子と独生女


1. 順序の履き違え

 (1) 主管性転倒の典型

『事必帰正』(郭錠煥 著)

 一方向の視点からのみで書かれたと言えるこの内容は、どれほど正しく、またどれほど間違っているかは別問題として、「独生女」解釈の問題点を端的にまとめておられたので、下記に引用しました。なお、この問題における批評は次頁以降に記します。また、書評は下記<参照>をご覧ください。

<参照>
 郭先生の「事必帰正」は、お母様への未練を語られている



  @ 文先生が語られた独生女の意味

 1950年代から2000年代まで、お父様は独生女に対して終始一貫、同じ説明をしてこられました。
 独生女に対して原理的な説明を正確にされ、神様の摂理の中で独生女がどのように探し出されるかを明らかにされました。私自身の記憶をたどってみても、お父様の御言選集に記録されたみ言葉を探してみても、独生女に対する説明は明確です。同じテーマをお父様は半世紀以上語られましたが、曖昧に説明されたところはなく、その論理にも乱れはありませんでした。
 本来、アダムとエバは神様の子女である独り子(独生子)と独り娘(独生女)として創造され、彼らが成長して神様の祝福のもとに夫婦となり、家庭を完成することが神様の創造目的でした。ところが、アダムとエバの堕落によって、神様は独り子と独生女を再び探し出す摂理を経綸してこられたのですが、これが復帰摂理歴史であり、再創造摂理歴史です。
 神様はまず、独り子がこの地球星に再び生まれるようにするための摂理を進められ、4千年ぶりにイエス様が神様の血統を受け継いだ独り子として生まれ、再び2千年後にお父様が生まれました。しかし、神様は直系の真の愛の血統を通して、独り子アダムを見出したものの、独生女エバは見出せませんでした。サタンがエバを奪ったのです。
 @ 独生女を探し出す責任は独り子にありました。独り子はサタン世界からエバを探してきて、独生女として再創造しなければなりません。本来、アダムを創った後に、アダムの体からあばら骨を取ってエバを創造されたように、A 独り子は、探し出したエバの偽りの血統を否定し、断ち切って、娘と妹のような立場で接ぎ木した後、8段階の犠牲的投入の過程を経て、神様のみ旨に相応しい独生女を育てなければならないのです。
 これが独り子・独生女に対するお父様の一貫した教えでした。
 神様の息子として生まれた独り子が、サタン世界で奪われたエバを復帰し、独生女として育てて、2人が神様の祝福を受けて本然の真の家庭を成すことが、神様の復帰摂理歴史の核なのです。(『事必帰正』p431〜p434)


 独生子と独生女は、神様のひとり子とひとり娘のことである。堕落以前は、神様の前に罪がないのでどちらも無原罪であることは間違いない。問題なのは、青下線@ の内容である。神のひとり子として個性完成したアダムは自らの責任と判断によって、不特定多数の女子の中からひとりを選んで神のひとり娘に創造あるいは再創造しなくてはならない。このことは、イエスの時も、再臨の時も、アダムの時も同じであったと言える。その後、青下線A の経過をたどり、神様のみ旨に相応しい独生女として育て上げていかなければならないのである。
 この様に、アダムには、自らの責任にエバに対する責任が付加され、同じように、エバには子女に対する責任が付加されるのである。

  A 韓鶴子女史が理解し主張する独生女の意味

 一方で、お母様が語られた独生女に対する説明をよく見ると、根本的に、お父様のみ言葉の核心を全て否定していることが分かります。
 一歩進んで、お母様は「私が語ることのできる時を待ちました」(2017年11月4日)、「私は59年余りの間、何も話しませんでした。全てを知りながら沈黙しました」(2017年11月11日)と言われながら、「今や天の摂理から見た人類歴史の真実を明らかにする」(2017年11月16日)と宣言しました。
 結局、お父様が今まで語られてきたみ言葉は真実ではなく、偽りであるという意味をはっきりとほのめかしたのです。
 それだけでなく「キリスト教2千年の歴史と家庭連合時代は『夕方』であって、独生女、真のお母様の時代に『朝』を迎えるため、真実を明らかにする」(2017年11月11日)と言われ、神様の摂理の歴史区分を、お母様を中心にひっくり返してしまいました。
 それでは、お母様が独生女に対してどのように語られているのか、簡単に整理してみたいと思います。家庭連合指導部はお母様の「独生女の本質」を隠すために、長々と複雑な神学的説明を述べていますが、その核心は次のようにシンプルです。
 神様は独り子だけを創造してこられたのではない。独生女も創造してこられた。その証拠がキリスト教の歴史であり、韓民族の歴史である。2千年のキリスト教史は独生女を探してきた摂理歴史であり、神様はずいぶん前に韓民族を選ばれ、独生女を送るための準備をしてこられた。そして6千年ぶりに真のお母様が原罪と関係のない神様の娘、独生女として出生した。母胎からサタンと関係のない血統として生まれたのだ。
 原罪をもって生まれたお父様は、16歳でイエス様の使命を継承した時から、後天的に再臨主の資格を整えた。そして独生女に会って、原罪清算を受け、真の父母になった。このような独り子が独生女を育てて教育したのではない。お母様はお父様に初めて会った17歳の時から、自ら神様の摂理歴史を知り、原理を勉強した訳でもないのに、既に全てを知っていた。この時、復帰摂理をお母様の当代に終わらせることを決意して出発した。
 お父様も再臨主として成功しようとすれば、『私(お母様)』の力が絶対的に必要である。神様の摂理において、再臨のメシヤよりもっと重要なことは、サタンと関係なく天の血統として独生女が誕生することだ。今や人類の前に救世主は独生女、『私』である。宇宙の母、真の母、独生女を迎えなければ、堕落した人類としては救いがない。真のお母様を否定すれば終わりだ。
 2013年から2018年現在まで、約6年間、お母様は繰り返し、こうした独生女の主張を家庭連合幹部と食口たち、さらには大衆が集う集会を通して公式的に発表しました。金振春氏などを呼び、「食口たちに独生女の教育をしなさい」と注文されました。(『事必帰正』p434〜p435)


 ところが、韓女史は、文先生の上記のみ言葉を真っ向から覆した。韓女史は生まれながらに神様のひとり娘(独生女)として誕生し、文先生は堕落人間として誕生し、後天的に再臨主としての資格を有して、韓女史によって無原罪として神様のひとり子(独生子)になったと頑なに主張し続けたのである。このことは、統一原理に反するばかりではなく、聖書の記述には一切なく、歴史的にも全く検証すらできない内容である。キリスト教の聖母マリヤ信仰には、無知ゆえの結論として容認できても、支離滅裂な内容にはとても容認できるものではない。

<参照>
 独生女(独り娘)の理解を深めるために ― 真のお母様の無原罪性について(世界平和統一家庭連合)


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